私たち八幡屋茶舗では、荒茶の仕入れから製品仕上げまでの工程を手がけています。
中でも特にこだわりの強い部分として、やはり仕上げの工程があげられます。
在籍する茶師一人一人が自分の技術にプライドを持ち、飲む方の顔を思い浮かべながら仕上げ作業にあたっています。
繊細な火入れ『後火式』で仕上げています
生葉→荒茶→仕上げ茶→(合組)→製品としてのお茶
農家さんが手塩に掛けて育てた生葉を摘んで荒茶工場で蒸して揉んで「荒茶」にします。
荒茶は、水分含有量(5%程度)が多いため、傷みやすく、形状も不均一で取り扱いに不便なため、そのままでは製品になりません。そこで「仕上げ加工」をします。
(※仕上げ加工とは、選別・整形、火入れという工程です。)
仕上げの手順もそれぞれの製茶工場により異なります。大きく、先火式と後火式という違いがあります。
先火式とは、荒茶に火入れをしてから選別・整形をする方式で後火式とは、荒茶を選別・整形してから火入れをする方式です。八幡屋茶舗では、より繊細な火入れができる「後火式」を採用しています。
各工程の説明
まず、荒茶を拝見します。お茶は、同じ地域の同じ茶畑でも同じ味ではありません。そして、荒茶は、蒸し、揉みの具合でも異なります。荒茶の特徴を見極め、適した仕上げを行うのが「茶師」の腕の見せ所です。
1、選別・整形
- 茶の見栄えを良くする
- 繊細な火入れができるようにする
篩(ふるい)を使い、お茶を下記に分別します。
[本茶、頭(大葉)、毛葉、茎、中粉、細粉]
そのうち、外す部分が出てきます。仕上げたいお茶のイメージにより異なりますが、毛葉は、切断し、粉茶へ、茎は、棒茶へにすることが多いです。そして、長さを揃えるため、切断します。そうすることで手触りが良く、見た目にも均一性が出て見栄えが良くなります。主に中粉、細粉、本茶を火入れします。
2、火入れ
- 荒茶を乾燥させて、保存性を高める
- 加熱反応で香味を向上させる
乾燥は、5%あった水分含有量を3%程度まで下げます。八幡屋茶舗では、マイクロ波乾燥火入れ機を採用しています。マイクロ波乾燥火入れ機とは、マイクロ波、遠赤外線を照射する機械で、この2つを照射することで火入れがされ、仕上げ茶となっていきます
- マイクロ波
マイクロ波を照射することで水分子(水以外に吸収されない)を振動させ、内側から温め、乾燥させます。 - 遠赤外線
赤外線でお茶の外側から熱を入れ、お茶の持つ香気を引き出したり、火香(ひか)をつけます。
火入れの遠赤外線のヒーター温度の設定は、400度を超え、600度に達することもあり、品温(お茶の表面温度)は、100度から130度に達します。
(※焙じ茶のように仕上げるごく一部のお茶は、150度を超えます!)
もちろん、茶商、茶師によって温度設定は異なります。また、品温はたった1度違うだけで全く別になってしまいます。なので火入れ機から出てすぐの激アツなお茶の香りを何度も確認し、拝見(※)で最終判断を下します。
八幡屋茶舗の『活かす火入れ』とは
それは、ごくごく基本的なことであるかもしれません。品種はその品種らしく、産地の特色を感じる味わいと香り、水色を大事に植物特有の青臭み、エグみを緩和させ、火香を組み合わせることで魅力へと変換させます。
また、一つの特徴に特化させたたお茶を作ることもあります。例えば、天然玉露と言われる品種「あさつゆ」の深蒸しは、当社では、「色だしのお茶」として仕上げることが多く、特に水色に重点を置き、火入れをします。
特化したお茶を作ることで「合組」(ブレンド)に使いやすいお茶になります。
※拝見とは(仕上げ時の拝見の説明です。仕入れの拝見とは少々異なります)
お茶の品質(香気、水色、滋味)を鑑定すること
- 白い拝見茶碗に4gのお茶、沸騰した熱湯を注ぎ、すくい網で浸した茶葉をすくいあげて香気(香り)を確認。
- 茶葉を全てすくいあげて水色を確認。
- 最後にスプーンでお茶を啜り飲みで滋味を確認します。